間違い探しで日本語レッスン

間違い探しは子どもたちにかなり人気です。言語の学習というよりもゲームやクイズのような意識で取り組めるので、レッスンでよく使います。使用するか否かはお試しで使ってみた時の反応で決めるのですが、その時のポイントは以下の通りです。

違いを伝えるのに必要な語彙力があるか

文章で正しく表現できなくても構いません。でも違いが見つけられた時に、それをなんとか自分の力で伝えるだけの語彙や表現を持っているか、伝えたいという気持ちがあるか、この2点を見ます。もし伝えるのに必要な語彙や表現がまだ習得できていない場合は子どもにストレスがかかるだけなので、次回からの使用は見送ります。でも、単語だけでも、もしくは位置詞(上、下、右、左など)が言えるとか何とか手持ちの語彙で伝えようとする姿勢があり、それが楽しそうであれば使います。なぜなら「どうしても伝えたい」というこの気持ちこそ、本当のコミュニケーションだと思うからです。状況によっては教師がいろんなヒントを出します。「上、下」と画面を示して「どっち?」と聞くと「上!」、「右、左、どっち?」と聞くと「右!」など、位置詞のみで答えに辿り着く場合も。単語が言えなくても場所が言えたら、あとは教師が「ああ、これは雪だるま!雪だるまです」と単語を教えるだけ。こうして学んだ単語は記憶に強く残ると思います。

好きかきらいか

間違い探しは多くの子どもが好きですが、中にはあまり好きではない子どもも。その場合は無理せず諦めます。でも「楽しくなさそうに見えるけど楽しんでいる」というケースもあるので、態度を見てあっさり見極めないことが大切ですね。たまたまその日はやる気がないというケースもあります。「好き、好きじゃない」という言葉はレッスン開始後早い段階で教えるので、判断に迷う場合は直接聞くこともあります。答えを伝える力が合っても楽しくないのであれば、無理強いせずに次回からは使わない、というスタンスです。子ども自身が楽しんでいることが何よりも大切ですね。

間違い探し、こんなふうに使っています

日本語のレッスンで間違い探しをすることのよさは、「違いを見つけてそれを正しく伝える力がつく」というだけでなく、その子の状況に応じた様々なやりとりに展開できるところにあります。

いろんな間違い探しがあるので、その子の好きなもの、季節に合ったもの、その日のレッスンテーマに合ったものなど、いろんな観点で選ぶことができます。場合によっては子どもに選択肢を提示して、どれがやりたいか決めてもらうこともあります。こうして選んだ間違い探し、そこから先はその子の日本語のレベルに合わせてやりとりしていきます。

  • 2つの絵をじっくり見てもらう
  • 見つかったら教えてもらう(必要に応じて助ける)
  • 絵について話す

①2つの絵をじっくり見てもらう

教師はできるだけ口を挟まず、まずはゆっくり絵を見てもらいます。子どもの反応を見て「見つけたかな?」と思ったら次へ。どうしても見つからない場合はヒントを出します。

②見つかったら教えてもらう

ここは一番話す力に差の出るところです。自分の力で伝えられる子にはまず話してもらいます。それをわかりやすい表現、正しい表現に整理していきます。「こっち3、こっち2」のような表現を、「右は犬が3びき、左は犬が2匹です」と相手にわかりやすく伝え直すイメージです。「右は・・・、左は・・・」という表現を身につけるチャンスですね。次に、どう伝えたらいいかわからない子どもには、どこにあるか、何が違うかなど選択肢を提示します。質問に1つずつ答えていくことで答えを共有し、その後表現を学ぶという流れです。
子ども「これこれ!」
教師「何色ですか?」
子ども「白」
教師「丸、三角、どっち?」
子ども「丸」
教師「白い丸がいくつありますか?」
子ども「3つ」
教師「白い丸が3つですね。これは雪だるまです」
「雪だるま、何が違いますか。帽子?顔?」
子ども「顔!」
教師「そうですね!雪だるまの顔が違いますね!」
こんな感じです。新しい言葉を学ぶだけでなく復習もできますね。

③絵について話す

この部分はその子の状況に応じて、やったりやらなかったりです。やる場合の主な理由は発展的に話すだけの語彙力があり話す意味があるから。やらない場合はその反対です。答えを伝えることに精一杯で、それ以上の会話は難しい場合です。例えば雪だるまの場合、「雪だるまを見たことある?」「何で見ましたか?」「作ってみたことはある?」など、その子の経験や気持ちを話してもらいます。こういう小さなやりとりがこれまでの復習になったり、その子の理解に繋がったりするので、レッスンにおいては大切な時間です。


オンラインで使える間違い探しはいろいろあるかと思いますが、私がよく使っているのは「やんちゃワーク」さんのものです。「やんちゃワーク」には日本語レッスンで使えるいいマテリアルが他にもたくさんあるので、こちらのブログでも紹介していきたいと思っています。
こちらです。

やんちゃワーク 間違い探し

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